多摩信用金庫本店2階のギャラリー(地域貢献スペース)では、2022年1月9日(日)から4月1日(金)まで、武蔵野東学園による【「東の丘」East fields 武蔵野東学園絵画作品展】を開催しております。
武蔵野東学園からのメッセージ
この絵画作品展は当学園の在学生の美術作品を広く一般にご覧いただくことを目的として開催しました。
当学園の在校生の数は、幼少中高合わせて1592名、そのうちの470名が自閉的傾向を持つ子どもたちです。このような規模で健常児と障がい児を同じキャンパスで教育を行なう(混合教育)学校は、世界で唯一当学園だけです。
今回絵画作品展を開催する理由は、自閉症という障がいの態様、いやむしろこれは特性と言った方がよいでしょう、に深くかかわっています。自閉症児(者)には強い集中力を発揮する、特定の事柄に強いこだわりを持つ、五感のうちのどれかが特に鋭敏である、などの傾向がしばしば見られます。
それが極めて細密な絵、写真に撮影したような写実的な絵、優れた色彩感覚の絵などの制作や、ユニークな造形感覚を持つ陶芸作品の制作などにつながっているのです。これらは視覚機能、触覚機能に優れているところからきているのでしょう。そしてこの二つは美術家や工芸家の才能の重要な部分を形成しています。自閉症児(者)には、美術工芸方面で才能を発揮し、画家として自立している人もおります。
この美術展の展示作品には、自閉症児の作品、健常児の作品が入り混じっています。自閉症児教育の重要なツールでもある美術教育は、当学園が特に力を入れている教育分野ですから、健常児の中にも当然絵画制作に優れた生徒がいます。
どの作品に将来の美術家としての能力が隠されているか、注意深くご覧ください。そのキーワードは、「人並外れた執着力」「特異な視覚機能」「独特の色彩感覚」「卓越した造形感覚」です。
武蔵野東学園理事長 寺田欣司
武蔵野東学園
武蔵野東学園は、「心と体の健やかな子どもを育てたい」という親の願いの実現を創立理念として、北原勝平・キヨ夫妻により創立された学園で、1964年の幼稚園の開園からスタートしました。
幼稚園の開園時に自閉症児を受け入れたことをきっかけに、さまざまな試行錯誤の末、自閉症児のための独特の教育手法『生活療法』を開発し、さらに自閉症児と健常児が同じ校舎で学ぶ『混合教育』のシステムも導入しました。当時教育困難と言われた自閉症児が、この教育環境の下で、顕著な成長を見せ、その教育成果が広く世に知られるにつれ、全国から入園希望者が殺到しました。その後、「同じ教育環境を持つ上級学校を…」という親たちの強い願いを受け、多くの困難を乗り越えて1977年に武蔵野東小学校、1983年に武蔵野東中学校、さらに1986年には社会自立の力を育むための教育の場として武蔵野東技能高等専修学校を設立しました。そして今や学園の行なう『混合教育』は、インクルーシブ教育のさきがけとして、わが国の教育界で高く評価されています。
現在、学園では幼~高あわせて約1592名が学んでいますが、その約30%は自閉症児たちです。『混合教育』の環境下で学ぶ自閉症児たちは健常児からの刺激を受けて成長し、一方健常児たちは自閉症児との交流をとおして友愛と生きた福祉の心を育んでいます。
本学園の自閉症児教育は次第にアメリカの研究者の知るところとなり、その研究者などの支援を受けて1987年にボストン東スクールを開校、現在ではマサチューセッツ州の教育機関として自閉症児教育を行っています。同校の教育活動もまた世界的な評価をうけています。
当学園には例年多くの入園入学希望者が訪れますが、学校法上の定員規制のため、入園入学できるのはそのほんの一部です。そこで学園は2004年に「武蔵野東教育センター」を設立し、学園外のこどもたちも『生活療法』を受けられる教育施設として活動しています。センターでは様々な療育プログラムを提供しており、現在幼児から高校生年代まで、647名を超えるこどもたちがプログラムを受講しています。
展示情報
企画名:「東の丘」East fields 武蔵野東学園絵画作品展
会場:地域貢献スペース(たましん本店2階 北側通路)
展示期間:2022年1月9日(日)~2022年4月1日(金)
利用時間:7:00~22:00
※無料でご覧いただけます。
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