多摩信用金庫2階ギャラリー(地域貢献スペース)では、地域の美術・文化教育に貢献する活動の紹介として「立川女子高等学校からもっとアートを!」展を2025年3月14日(金)まで開催しています。出品している総合コース3年生を指導された立川女子高等学校芸術科の佐藤 岐夜美(きよみ)先生にお話をお聞きしました。
(聞き手・文:たましん美術館学芸員 村山)

――立川女子高等学校(以下、「立川女子」)とは、どんな学校ですか?
「愛と誠」の心を建学の精神に掲げ、女子教育一筋、今年で創立100周年を迎える私立の女子高校です。立川駅北口から徒歩7分という立地にあります。教員の世代交代が進んできたところで、若い先生方が元気に働いている印象を持っています。
生徒の自己肯定感や自己表現力を高めようと新たに設けられたのが「モットー・アート」という科目です。その担当として昨年私が着任し、1年かけて授業内容を考えました。
――佐藤先生ご自身についてもう少し教えてください。
東京藝大の油画科を卒業して個展などの活動を行っていましたが、10年ほど前より、美術の非常勤講師として主に高校の授業を掛け持ちしながら作家活動をしてきました。アーティストランギャラリー運営の経験もあって、何かを企画することにも興味があります。立川女子に応募した時は、新設する科目という点にも魅力に感じました。
――具体的な授業内容を教えてください。
「くるみ製本」(無線綴じの製本)では1枚の紙から本を組み立て、自己紹介本を制作しました。それから陶芸作品、張り子人形、シルバーアクセサリーを制作しました。生徒たちは、着任前にイメージしていた以上に、驚くほどに器用で引き出しも多く、手先を動かす作業が向いていると感じます。こんなにもクオリティの高いものを造りあげられるのだから、もっとアートを通して自信を高めていけたらと。実際に、この授業で制作したものを提出して美術系の大学などに合格した生徒も数名います。




――地域貢献スペースで展示するきっかけは?
多摩信用金庫に縁のあった方からこのスペースについての情報をいただき、応募しました。
――今回の展示を通して伝えたいことはありますか?
是非、生徒たちの原画を見ていただきたいです。近年、物を作れる、手を動かすことができる人というのは貴重な存在になってきていると思います。実際、アナログの絵具を混色できない、例えば肌色を作る際に何色と何色を混ぜればよいかわからないという子がとても多いです。立川女子の生徒たちは、そういった面はクリアできている子が多いと思います。
そして授業風景から生き生きと活動している様子を感じていただきたいです。素のままの日常の生徒たちの姿をご覧いただくことで、作品から立川女子の生徒たちの存在を理解してほしい、こんな一面もあるのだと知ってほしい。生徒にとって貴重な1年間の取り組みが、今回の展示によって日の目を見る機会となりうれしく思います。

――まさに地域の教育活動に貢献する挑戦ですね。多くの方に伝わることを願っています。本日はありがとうございました。
インタビュー実施日:2025年2月2日
立川女子高等学校からもっとアートを! 展
会期|2025年2月3日(月)〜3月14日(金)
利用可能時間|午前8時〜午後9時
入場料|無料
会場|多摩信用金庫本店本部棟2階ギャラリー(地域貢献スペース)
〒190-8681 東京都立川市緑町3-4 多摩信用金庫本店2階
お問い合わせ|042-526-7788(たましん美術館)

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